片頭痛
片頭痛の臨床像
日本人における片頭痛の推定患者数は約840万人といわれています。女性の有病率は男性の3.6倍で、片頭痛の初発は20〜30歳代にピークがあり、それ以降減少します。
予兆期
片頭痛発作の前に起こる体調の変化を指します。片頭痛の数時間前から1〜2日前に出現することが多いようです。たとえば、イライラ感、精神的高揚、あくび、過睡眠、光や音に対する過敏性、食欲亢進あるいは不振、肩こりなどがあります。
前兆期
片頭痛患者の10数%に見られるようです。典型的には閃輝性暗点といわれる視覚性前兆です。片方の視野に最初は小さな光の線が見えはじめ、その後20-30分かけて大きくなっていきます。残光のような症状で視野が欠けたように自覚します。そのためまず眼科を受診される方も多いようです。ただこの症状は、1時間以上は続かず、その後自然に消失します。人によってはこの前兆期の視覚症状だけで、以下の頭痛を自覚されない場合もあります。
頭痛期
前記の予兆、前兆に引き続いて、あるいは何となくの頭部の違和感に続き、徐々に増強する「ズキズキ」「ガンガン」「ドクドク」するような頭痛が出現します。一度片頭痛が生じると4−72時間(3日間)持続します。片頭痛とはいっても、頭の半分が痛むのは60%程度で、両方の頭が痛むことも決して少なくはありません。頭痛は日常生活が続けられない程度の痛みであることが多く、無理をして動くと、強くなります。また光や音に過敏になりやすく、暗い静かな部屋で、静かに横になりたいと思うことが多いです。頭痛がひどくなると、吐き気、嘔吐を伴うこともしばしばです。しかしながら一眠りすると、軽快することが多いのも片頭痛の特徴です。
誘発因子
食品(チョコレート、赤ワイン、チーズなど)、月経(前〜中)、睡眠不足あるいは過剰、疲労、ストレス、精神的緊張あるいは緊張からの解放(仕事からの解放で、週末に起こる頭痛(Weekend headache))などがよく知られています。
原因
三叉神経血管説という学説が主流です。
これは1993年に米国ハーバード大学Moskowitz先生が提唱されたもので、彼は私の留学先のボスです。私が留学していたのは1998-2000年ですので、その数年前です。
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